パブリックIPアドレスの概要
パブリックIPアドレスがどのような方法でインターネット上で一意であることが保証されているかについてみていきましょう。
IPアドレス管理機関(ICANN)
- インターネット上のIPアドレスは、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)と呼ばれる組織によって管理されています。ICANNは、世界中のIPアドレスやドメイン名を管理し、これらを適切に割り当てる責任を持っています。
IPアドレスの割り当て
- ICANNは、5つの地域インターネットレジストリ(RIR)と呼ばれる組織にIPアドレスブロックを割り当てます。これらのRIRは、地理的な領域ごとに担当しており、それぞれが特定の範囲のIPアドレスを管理しています。
RIRの役割
- RIRは、各地域に所在するインターネットサービスプロバイダー(ISP)や企業に対して、適切なIPアドレスを割り当てます。この際、一つのIPアドレスは重複せず、特定の地域内で一意であるように管理されます。
ISPとエンドユーザー
- ISPは、RIRから割り当てられたIPアドレスを基に、それを必要とするエンドユーザーや企業に対してIPアドレスを再分配します。これにより、エンドユーザーがインターネット上で一意のアドレスを利用できるようになります。
重複の防止
- IPアドレスは一度割り当てられると、同じ地域やインターネット上で他のデバイスには割り当てられません。これにより、各デバイスが一意のアドレスを持ち、正確に識別されることが保証されます。
簡単に言えば、ICANNとRIRを通じて、各地域やISPに一意のIPアドレスが割り当てられ、これが効果的に管理・分配されることで、パブリックIPアドレスが重複なく一意であると保証されています。
パブリックIPアドレスの種類: 固定IPアドレスと動的IPアドレス
パブリックIPアドレスには固定IPアドレスと動的IPアドレスの2種類があります。
それぞれのメリット、デメリットについてみていきましょう
1. 固定IPアドレス
メリット
一貫性と安定性
- 固定IPアドレスは変更されないため、常に同じアドレスで識別されます。これにより、外部との通信やサービス提供において一貫性があり、安定性が向上します。
外部からのアクセス - サーバーやネットワークデバイスが外部からアクセスされる場合、固定IPアドレスは外部からのアクセスを容易にします。特に、公開されたサービスやウェブサイトでは、一定のアドレスが期待されるため重要です。
DNSの管理
- 固定IPアドレスはドメインネームシステム(DNS)との組み合わせが容易です。DNSはドメイン名とIPアドレスを関連付ける仕組みであり、固定IPアドレスを使用すると、ドメイン名が変更されても安定してサービス提供が可能です。
デメリット
費用と手間
- 固定IPアドレスの取得には通常追加の費用がかかります。また、設定や管理に手間がかかることがあります。

AWSで固定IPを取得したことがありますが毎月費用がかかりました
- 固定IPアドレスは一度割り当てられると他のデバイスには再割り当てされません。これが増えるとIPアドレス枯渇の問題に寄与する可能性があります。
2. 動的IPアドレス
メリット
コストの削減
- 動的IPアドレスは通常、費用が固定IPアドレスよりも低いです。特に、大規模なネットワーク環境では、IPアドレスを柔軟に割り当てることができ、コストを削減できます。
セキュリティ
- IPアドレスが動的に変更されるため、セキュリティ上のリスクが低減します。外部からのアクセスを防ぐためには、アドレスが定期的に変更される方がセキュアです。
IPアドレスの最適利用
- 動的IPアドレスは利用されない期間中に他のデバイスに再割り当てでき、IPアドレスの最適な利用が可能です。
デメリット
通信の一貫性の欠如
- 動的IPアドレスは変更される可能性があるため、外部との通信において一貫性が欠如することがあります。特に、サービス提供などで一定のアドレスが期待される場合に問題が発生する可能性があります。
DNSへの影響
- 動的IPアドレスは変動するため、DNSとの組み合わせが難しくなります。ドメイン名が頻繁に変わると、サービス提供に支障が生じる可能性があります。
セキュリティの懸念 - 動的IPアドレスは変更されるため、特定のデバイスを特定しにくく、セキュリティ上の懸念が生じることがあります。
パブリックIPアドレスの利用シーン
次にウェブサイト、サーバー、ネットワークデバイスなどがどのようにしてパブリックIPアドレスを使用するかをみていきましょう
ウェブサイト
- ウェブサイトは、インターネット上で見られるように公開されています。これには、ウェブサイトが所在するサーバーにパブリックIPアドレスが割り当てられています。例えば、Googleのウェブサイトは特定のパブリックIPアドレスを持っています。
サーバー
- サーバーは、情報やサービスを提供するための特別なコンピュータです。これらのサーバーもパブリックIPアドレスが割り当てられており、それを通じてインターネット上のユーザーがアクセスできます。例えば、メールサーバーやオンラインショップのサーバーも、それぞれ独自のパブリックIPアドレスを持っています。
ネットワークデバイス
- ネットワークデバイスは、ルーターやファイアウォールなどの機器を指します。これらのデバイスも、通信の中継やセキュリティのためにパブリックIPアドレスが必要です。例えば、企業のネットワークに接続されたルーターは、企業がインターネットと通信するためにパブリックIPアドレスを使用します。
これらのデバイスがパブリックIPアドレスを使用することで、インターネット上で一意で区別され、他のデバイスと通信できるようになります。重要なポイントは、これらのアドレスが一意であるため、例えばあるウェブサイトにアクセスする際、正確にそのウェブサイトのサーバーに接続できるということです。これがなければ、通信が混乱し、データが正しく届かない可能性があります。
パブリックIPアドレスの重要性
パブリックIPアドレスの役割と、なぜ一部のデバイスにはこれが必要なのかをみてみましょう。
通信の特定性と一意性
- パブリックIPアドレスは、インターネット上でデバイスを特定するための一意なラベルのようなものです。これにより、他のデバイスやサーバーが正確に通信先を識別できます。
- インターネット上で大量のデバイスが同時に通信している中で、どのデバイスがどこにアクセスしているのかを正確に特定する必要があります。パブリックIPアドレスがこの特定性と一意性を提供します。
データの正確な送受信
- パブリックIPアドレスを使用することで、データが正確に送信元から送信先へ到達します。例えば、ウェブブラウザで特定のウェブサイトにアクセスする際、その要求とデータはそのウェブサイトのパブリックIPアドレスを使用して正確に届けられます。
- パブリックIPアドレスがなければ、通信の途中でデータが迷子になったり、正確な通信相手が不明瞭になります。
インターネットへの直接アクセス
- 一部のデバイス、例えばウェブサイトや公開されているサーバーなど、直接インターネットと通信する必要があります。これらのデバイスにはパブリックIPアドレスが必要です。
- パブリックIPアドレスがないと、直接インターネットと通信することができず、外部からのアクセスも受け付けられません。
簡潔に言えば、パブリックIPアドレスはインターネット上でのデバイス同士の正確な通信を可能にし、各デバイスを一意に特定するために重要です。一方で、すべてのデバイスがパブリックIPアドレスを持つ必要はなく、内部ネットワークなどではプライベートIPアドレスを使用することが一般的です。
まとめ
パブリックIPアドレスは、ICANNとRIRを通じて一意に管理・割り当てられ、インターネット上でのデバイス同士の正確な通信を可能にします。その種類には固定IPアドレスと動的IPアドレスがあり、それぞれメリットとデメリットが存在します。これらのアドレスがなければ、通信の混乱やデータの正確な送受信が難しくなり、インターネット上でのサービス提供や情報のやり取りが困難になります。